臨検監督の状況(平成28年労働基準年報)

監督指導等

第1節  事業場監督

 平成28年中に、労働基準監督官が事業場に赴き、監督を実施した件数は、169、623件であり、その内訳は、定期監督等(毎月一定の計画に基づいて実施する監督のほか、一定の重篤な労働災害又は火災・爆発等の事故について、発生直後にその原因究明及び同種災害の再発防止等のために行う監督を含む)が134,617、申告監督(労働者等からの申告に基づいて実施する監督)が21,994件、再監督(定期監督、申告監督の際に法違反を指摘した事業場のうち、一定のものについて法違反の是正の有無を確認するために行う監督)が13,012件となっている。

1.定期監督等(災害時の監督を含む) 

平成28年中に定期監督等を実施した事業場数134,617件を業種別にみると、建設業が44,279件と最も多く、全体の32.9%を占め、次いで製造業36,107件(同26.8%)、商業16,714件(同12.4%)、運輸交通業7,779件(同5.8%)、保健衛生業7,450件(同5.5%)の順となっている。
 以上の監督実施事業場のうち、何らかの法違反があったものは、89,972件で違反率は66.8%となっている。
 これらの違反事業場における法違反の内容を法条項別の違反率でみると、労働時間に関する違反率が31.5%で最も高く、次いで安全基準26.3%、健康診断21.9%、割増賃金20.9%、労働条件の明示15.3%、賃金台帳11.3%の順になっている。 

2.申告監督

平成28年中に取り扱った申告件数は、29,773件(前年からの繰越しが4,073件、当該年中の新規受理が25,700件)であり、このうち、当年中に完結した件数は25,757件である。
 新規に受理した申告を申告条項別にみると、賃金不払が21,700件で最も多く、新規受理件数の84.4%を占め、次いで解雇の3,831件(同14.9%)の順となっている。
 これらの申告について、被申告事業場に対し申告監督を実施した件数は、申告取扱総数の73.9%に当たる21,994件で、これを業種別にみると、商業3,722件(全体の16.9%)、建設業3,512件(同16.0%)、接客娯楽業3,259件(14.8%)、その他の事業2,962件(同13.5%)、保健衛生業2,452件(同11.1%)の順となって
いる。

3.再監督

 平成28年中に再監督を実施した事業場数は、定期監督及び申告監督等により法違反の認められた105,573事業場の12.3%に当たる13,012件となっている。 

4.使用停止等処分

平成28年中において労働者を就業させる事業の建設物、寄宿舎あるいは設備、原材料等が安全及び衛生に関する基準に違反する等の場合に、労働災害を未然に防止する見地から労働基準監督署長等が行った使用停止等命令処分等処分件数は、5,286件であり、その内訳は、使用停止等処分が5,284件、緊急措置命令が 2件となっている。

また、使用停止等処分事業場を業種別にみると、建設業が3,263件、製造業が1,707件であり、この2業種で全体の94.1%を占めている。

 

5.司法処分

平成28年中に、労働基準監督官が司法処分として検察庁に送検した件数は、890件であり、その内訳は、労基法違反が380件で全体の42.7%を占め、安衛法違反が497件(同55.8%)、最賃法違反が13件(同1.5%)となっている。
これを業種別にみると、建設業が309件で全体の34.7%を占め、製造業210件(同23.6%)、商業75件(同8.4%)、運輸交通業66件(同7.4%)の順となっており、また、工業的業種計では594件(同66.7%)、非工業的業種計では296件(同33.3%)となっている。

  

第2節  賃金不払の概況

平成28年中に、全国の労働基準監督署が取り扱った賃金不払事件(平成27年以前に受理し、平成28年まで処理を継続した事件を含む。以下同じ。)の総数は、件数で15,983件(前年比5.3%減)、対象労働者数で35,120人(前年比1.0%増)、金額で約127億2,138万2千円(前年比9.9%増)となっている。
 このうち平成28年中に、新規に把握した賃金不払事件は、件数で14,359件、対象労働者数で31,377人、金額で約113億9,406万円となっている。
 さらに、これを業種別にみると、件数では、商業が2,489件で全体の17.3%を占め、次いで建設業の2,393件(同16.7%)、接客娯楽業の2,252件(同15.7%)の順となっている。また、対象労働者数では保健衛生業が5,907人(同18.8%)、製造業が4,420人(同14.1%)の順となっており、金額では、建設業が約21億1,886万円(同18.6%)、製造業が約20億6791万円(同18.1%)の順となっている。
 これら平成28年中に取り扱った賃金不払事件のうち、当該年中に解決されたものは、件数で9,501件(全体の59.4%)、対象労働者数で19,813人(同56.4%)、金額で約47億1,283万円(同37.0%)となっている。 

未払い賃金請求対策室



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