事例1(製造業)

1.会社は、始業・終業時刻を労働者本人に労働時間管理システムに入力させる方法により把握し、入力された労働時間と実際の労働時間に相違がないかについて人事部門が年2回調査していた。しかし、当該調査は形骸化し、また、時間外労働時間に上限が設けられ、この上限を超えた時間外労働に対する割増賃金が支払われていなかった。さらに、客観的に記録された入出門時刻と入力されていた労働時間に数時間の相違がある労働者が多数認められ、かつ、その相違について合理的な説明もなされなかった。

2.監督署は、確認した賃金不払残業について是正を勧告するとともに、事業主に対し、①賃金不払残業について実態調査を実施し、その存在が明らかになった場合には法令に基づく割増賃金を支払うこと、②労働時間を適正に把握するための労働時間管理の方法について改善方策を検討することなどについて指導した。

3.会社は、労働者に調査票を配付して、過去の時間外労働時間を自己申告させる調査を行い、不払となっていた割増賃金(約330人に対する合計約18,000時間分)を支払った。
 また、①労働時間の適正な管理を重要な経営課題と位置付け、労働時間の状況について、毎月の経営会議にて確認・審議を行い、必要に応じて経営幹部から是正措置を指示する、②管理職を対象に、労働時間管理の方法に関する説明会を実施する、③さらに管理職が行う労働時間管理が適正になされているかについて、人事部門がチェックを行うなどの改善策を講じた。



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