事例3(医療保健業)

1.会社は、出退勤時刻をICカードにより把握するとともに、時間外労働は労働者自らが残業申請し、上司が承認する方法により、労働時間管理を行っていたが、休憩時間を管理しておらず、また、残業申請を行うか否かが労働者に委ねられている状況であった。そこで、ICカードで把握した退勤時刻と労働者が申請した終業時刻を比較したところ、両者に数時間の相違が認められ、かつ、その相違について合理的な説明がなされなかった。

2.監督署は、賃金不払残業が生じているおそれがあったことから、事業主に対し、①賃金不払残業について実態調査を実施し、その存在が明らかになった場合には法令に基づく割増賃金を支払うこと、②労働時間を適正に把握するための労働時間管理の方法について改善方策を検討することなどについて指導した。

3.会社は、就業週報・月報を用いて、過去の時間外労働時間の調査を行ったところ、不払となっていた割増賃金が認められたことから、不払分(約330人に対する合計約2,700時間分)を支払った。
 また、①労働時間管理者に対して労働時間や休憩時間に関するセミナーを実施する、②休憩時間の取得状況を労働時間管理者と総務部門が確認する、③把握した毎月の労働実績を労働者本人に通知し、労働者が申請した労働時間と相違が生じている場合には、その都度協議するなどの改善策を講じた。



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