事例2(金融業)

1.会社は、労働者本人に在社時間を出退勤記録表に記載させるとともに、時間外・休日労働を時間外・休日労働記録表に記載させる自己申告により労働時間を管理していたが、時間外・休日労働記録表に記載された記録と鍵管理機の操作記録の間に相違が認められた。さらに、労働者からのヒアリングにより、労働時間として扱うべき時間が時間外・休日労働記録表に記載されず、過少に申告されていることが認められた。

2.監督署は、確認した賃金不払残業について是正勧告するとともに、事業主に対し、①賃金不払残業について実態調査を実施し、その存在が明らかにあった場合には法令に基づく割増賃金を支払うこと、②職場風土の改善など、賃金不払残業解消のために必要な対策を行うことなどについて指導した。

3.会社は、鍵管理機の操作記録やパソコン操作時刻などを確認し、不払となっていた割増賃金(約290人に対する合計約18,700時間分)を支払った。
 また、①賃金不払残業の再発防止や過重労働による健康障害の防止についての経営トップによる決意表明を行い、これらに係る労使協議会を開催した上で労使協定を締結した、②労働時間管理の手法として自己申告制を継続するに当たり、労働時間の過少申告が行われたことを踏まえ、労使が協力して労働時間管理について検討する「労働時間適正化委員会」を設置し、労使それぞれで設ける相談窓口の活用促進をするなどの改善策を講じた。



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